第4款 設立時役員等の選任及び解任
・ 発起設立の場合には役員の選任・解任は発起人がします。しかし、募集設立の場合には、創立総会の決議によって行います(88条)。
・ 累積投票という制度があります。通常、取締役選任決議は多数の取締役を選任する場合でも、取締役の候補全員につき1回の決議で選任します。とすると、現取締役を支持する多数は株主の意向で取締役の全員が選任されることになってしまう恐れがあります。そこで、少数派株主に配慮するためにこの制度があります。
たとえば3人の取締役を選任する場合、株主は1株につき3個の議決権を与えられます。多数派(80株)がB1,B2,B3,B4,B5 の取締役を選任したいと考え、少数派(20株)がC1を選任させたいと考えているとすると、多数派は80×5=400議決権、少数派は20×5=100議決権、を有します。少数派は100議決権すべてをC1に投票するので、多数派としてはB1,B2,B3,B4,B5全員に80議決権ずつを投票しても全員を選任させることはできません。B1からB4に各々100議決権を投票し、B5は犠牲にせざるを得ません。比例代表制のようなものです。
この様に以前から、少数派株主の保護の制度として、累積投票制度を認めていました。以前は創立総会において、累積投票制度は認められていなかったのですが、改正法において、累積投票を認めています。よって、累積投票を希望する設立時株主は累積投票によるべきことを発起人に請求できます(請求がないと通常投票です。つまりB1~B5選任の件に賛成か否か→よって多数派が勝つ。但し、創立総会の決議要件は通常の株主総会の決議要件より重くなっているので、注意してください)。
この累積投票によると確かに少数派株主を経営陣に送り込むことができます。しかし、各取締役の対立を招くため、迅速な経営判断ができず、経営不振を招きかねません。そこで、定款で累積投票制度を排除でき、その場合には累積投票によることを請求できません。また、累積投票制度は取締役選任に限ります。監査役などは含みません。