資格商法レポート
 『怪しい電話』かかって来ませんか?ウチにも来ました。ほんのちょっとだけ相手をしてあげた結果を報告します。(会社名・人名の特定は避けていますので、一部フィクション化させることにしていますが、臨場感はそのままにしてあります)
☆資格商法というのは、例えば、民間資格が今度国家資格になるから今のうちに資格を取っておくと良いですよ、などといって、教材を買わせるものです。英会話教材を買わせる商法と同類です。強引に契約を押し進め、高いお金を払わせようとします。しかも内容と価格がつりあっていない、サービスに対するフォローが未熟などの欠陥商品です。
プロローグ
 11月の最後の週に、PRA(仮名)のHという男から電話があり、 『R(ここでは、詳細は伏せます)に関する講座資料を送るので、住所を確認します。静岡県磐田市の…』
 本来ならば、電話勧誘など『いらない!!』の一言で、電話を切ってしまえばいいのですが、私の場合は、ホームページでプライバシーポリシーの書き方を公開しているし、興味がないわけではない。とりあえず内容だけ見てみようということで、資料だけもらうことにしました。
 相手は、私が行政書士であることを知って電話してきています。日本行政書士会連合会のホームページで会員検索をすれば、住所なども出てきます。おそらく、これを利用しているのではないかと思います(相手に確認していないので確信は持てませんが)。以前、この方法で営業をかけてきた業者がいました。
 もしかしたら、これらの公表されている情報をまとめあげて、資料化し販売している業者があるのかもしれません。テレホンアポインターにとっては、効率よく電話をかけまくる必要があるので、利用者(電話勧誘業者)にとっては便利です。私は、この線の可能性が高いと考えています。

 ここで、なぜ相手業者が資料送付のための住所確認だけにとどめておき、契約の話をしないのかですが、最初の電話で核心に迫った話をすると、警戒心のため断られる可能性が高いからです。城を落とすために堀を埋めていく戦法です。この段階で『いらん!』と断ってしまえば、被害は発生しません。また、相手は『この人は脈なし』として、カモ名簿に載せることもないでしょう。ただし、あまり刺激すると、いたずら電話をされる可能性もあるので注意しましょう(結構しつこい人もいます)。
 たとえば、何も言わずに電話を切ると、非常に腹が立ちます。『いらない』と言われるよりもずっと腹が立ちます。この仕事はストレスが溜まるので、臨界点に近い心理状態のときに、この様なことをされると、爆発して、もう1度電話して「失礼だろ!!」と怒り、延々とわめき散らす、とか、無言電話を繰り返す、とか、「火事に気をつけろよ!」などの脅迫をする人もいます。

 実は、私は昔テレホンアポインターをしたことがあります。自分の性格上、いたずら電話はもちろん、強引な勧誘はしませんでしたが、やはり、電話をガチャ切りされるのが一番精神的にダメージが大きいです。


 私は、裏側を覗いています。その経験も踏まえて、R講座というものの、資格商法っぷりを公表します。
 これが、申込書の一部(見本)です。悪徳商法独特の言い回しがあります。
 ①には『間違いなく申し込みます。』、②には『※受講する、しないはご自由です。自己責任(リスク・アセスメント)において、受講お申込のご判断をお願いします。』と書いてあります。何か違和感を覚えませんか?この『くどさ』は、後日クレームが発生したときの布石のつもりでしょう。

 ここには載せていませんがパンフレットも怪しさが漂っていました。
対応マニュアルの作成
 パンフレットを簡単に見て、この申込書を見た所、代金約40万円と書いてあったので、話にならないと思い放って置いたところ業者から電話がありました。断ろうとしたら、いわゆるマシンガントークが始まる感じだったので、接客中を理由にその場は、電話を切りました。
 相手は、こちらの準備がない状態で電話をしてきています。つまり奇襲をかけています。従って、この時点では、迎え撃ちはしません。
 この際の基本的対応は『いりません』『いりません』『いりません』の一点張りで十分です。『誰がじゃ、何をじゃ、どうしてじゃー』の繰り返しも試してみるとおもしろいかも知れません。相手を、あきらめさせる、あきれさせる、のが一番です(下手に相手を刺激をすることもありません)。
 まず、インターネットで、情報を収集しました。「○○(業者名)  悪徳商法」で検索すると、結構情報があふれています。おおよその手口をここで、知っておいて、パンフレットの内容におかしな点がないかをチェックします。内容が虚偽であるかではなく、矛盾をつきます。その後、法務局へ行って、商業登記簿謄本をとってきます。そして、これらの、情報をもとにして、電話対応のシミュレーションを考えます。
 そもそも、電話勧誘に対して、この様なことをする必要は全くありません。みなさんは、相手に断りの意思表示だけをすればいいのです。疲れます。疲れるのは私だけで結構です。みなさんは、傍観者の立場でこのレポートをご覧下さい。
相手業者から電話が来た!
 では、ここから、実際の電話対応の内容を公開します。業者名や業者を特定する名称等は伏せてあります。また、録音状況がよくなかったため一部抜いたり、前後の会話から適当な言葉を挿入したりしています。そのため、内容は臨場感を出しつつも、フィクション化させている部分もあります。業者の発言は紫色、私の発言は青色で示してあります。
業者;『わたくし、日本危機管理協会(仮名)○○認定校のNです。』
(前回、かけてきた人と違う。しかも、話し方から、Hより格上の人物のようだ。そういうシステムなのだろうか?)
業者;『先般、こちらからですね、R認定資格の資料をお送りいたしてたんですがまぁ、あの前回見ていなかったと言うことなので、時間を置いて掛けなおさせていただいたんですが、内容のほうは確認いただけましたか。』
→「ええ、一応みました」
業者;『あっ、そうですか。内容分かりました?昔のファイナンシャルプランナーとか税理士とか行政書士とか、あっ行政書士は今でもありますね、特認は。そのシステムと同じでして、一般公開試験を免除して、資格をお取りいただくご案内を差し上げました。』
(「特認」の意味は、試験を受けずに資格が与えられることを意味しているようです。行政書士の資格は行政書士試験に合格する以外に、公務員の事務を20年以上続けると与えられるというケースがあります。他にも、法学系の大学教授が弁護士になるケースや、裁判所の事務官から簡裁裁判官になるケースなどがあります。すべて法律に規定があります。しかし、このR資格は国家資格ではないので、法律上の規定があるわけもなく、同じにされては困ります。)
→「とりあえず、今回お断りすると言うことで…」
(とりあえず、断る意思を示しておきます。もちろん、相手は、断られるのを承知でセールストークを準備しており、こちらも、それを承知して準備しました。)
業者;『なるほど!ご案内するにあたって、ご不満な点でもありました?』
(録音が聞き取れないため、一部しか聞こえませんでした。大体こんな感じのことを、しらじらしく、聞いてきました)

 私は、相手が、Hという男(前回電話をかけてきた人。攻撃的な話し方で、少ししか話しをしていませんが、瞬間で不快になりました。)が電話をしてくると思っていましたが、実際はHではなくNという男でした。それは、予想外でした。予め用意していた①商品内容に対する批判、②会社に対する疑問、③人に対する応対、を用意していましたが、③が使いにくくなってしまいました。もっとも、主力は①なので、問題ありませんでしたが。NはHと違って、静かに理路整然と話しをするタイプです。相手を不快にさせる無駄なことはしない感じですが、このタイプに②の攻撃をすると、理路整然と反撃を食らいます。証拠がないからです。せいぜい、登記簿上明確な社名が変わった理由を尋ねることで、揺さぶりをかけるぐらいです。とはいえ、相手に勝ち目はありません。
そして、決戦の火蓋が落とされることとなりました。
→「そうですね、ここでいうリスクアセスメント、これって何を意味してますか?」
(パンフレットの内容は資産管理、同封されていた新聞記事の内容は危機管理(証券取引所のシステム障害や鉄道事故の問題など)を、取り上げていたので、相手の口からはっきりした回答を出させるように仕向けました)
『つまり、一言で言うと、ワンショットカブン(?)』
(聞き取れませんでした。外来語は要注意です。意味をぼかされてしまいます)
→「というと?」
『例えば、弁護士や司法書士さんと提携を取られて、いま、結局、実は、あのー、法律とかの相談とか、企業のコンサルタントをメインでやってるのは司法書士さんか行政書士さんなんですよ。』
→「ええ、ええ」
(単なるあいづち)


『なぜかというと、弁護士さんは相談するのに、お金だけ取ると、言うことで、結局、まあ、無料で相談というのは、そういう立場の人(司法書士・行政書士のこと)だけ。そういう相談を受けた場合、きちんとコンサルティングをしてあげたい。(裁判などの)必要性があるならば弁護士にやってもらって、…』
→「そうすると、これは法律的な問題になるということですか。」
『法律的な問題?』
→「えー、それともファイナンス的な問題ですか?」
『両方とも対応してますけども…』
→「両方とも?」
『んー、一番問題になるのは、2008年に法改正がありますよね。』
→「2008年?」
『もっと分かりやすくいうと、今年の5月に新会社法が成立して、特例有限会社は設立できなくなりましたよね』
→「ん?」
(平成18年5月の会社法施行により、有限会社は設立できなくなりました。今まであった有限会社は、呼び方は有限会社のままであっても法律上は株式会社と扱われます。これを特例有限会社といいます。
 彼は、有限会社が設立できない、と言うのを、特例有限会社が設立できない、と言い間違えています。その後も、『特例』と『特定』を言い間違えていました。
 細かい所ではありますが、念のため補足しておきます。)
『あー、有限会社は、ですね。その前に設立していた有限会社が…、まぁ、例えば、あのときすごいビジネスチャンスだったんですよね』
(こうやって、改めて、文章にしてみると、たいしたことは話していません。必死になって、ビジネスチャンスになることを伝えようとしています。確かに、5月の会社法施行はビジネスチャンスだと騒がれていました。しかし、こちらは、この講座が資産管理を内容とするものか、危機管理を内容とするものかだけを論点にしています。論点のすり替えは見逃しません。)
→「ええ、ええ」
『まー、私どもの業界は○社という、ビジネスマン向けの雑誌がありますよね、がやっておりますので一昨年弁護士さんや司法書士さんを対象に、ケイエン型(?)、会社の社長さんに、こういう○○を持っていったらどうですか?というのをお教えしました。』
→「ええ」
(単なるあいづち。録音の声も聞き取りにくかったのですが、それ以上に意味が分かりません)
『つまり、息子さんや娘さん、お孫さんに着目した、特例有限会社を会社分割してほしいという、まあ当然のことながら、特例有限会社は生涯役員は変わりませんので、けれども、本社の管理下にあるうちにお金の流れを作っておきたいと…。』
→「ええ」
(これも単なるあいづち。もはや、何を言いたいのかわかりません)
『で、その会社が…』
(録音のなかに飛行機の音がはいってしまい、聞き取れませんでしたが、支離滅裂になっていました。必死です。
 このあたりで、反撃をしてみようかと思います。)
→「はい、はい、それとですね、このR講座とどう関係があるんですか?」
『いや、今回この資格を特認という形にさせてもらってるんですよ。』
→「特認?」
(今までの会話の中で、『特認』という単語が出て来ていましたが、ここで、その意味を聞いてみたいと思います。この業界の人は自己中心的に話を進めるので、分からない(わかりにくい)単語を当然のように使います。)
『お客さん、一般士業の方に免除して、取ってもらうご案内です』
→「え!、それは、なんで、免除になるんですか?」
(あらかじめインターネットで相手業者の手口を調べていますが、わざと分からないふりをして、聞いています。人によっては、『そんなこともわからないのか?』という反応をする人もいますが、挑発に乗らず、攻撃のタイミングまで、我慢します。)
『資格者の方ですよね?』
→「わたくしがですか?」
『うん』
→「そうですよ」
『うん、だからその方、7000名に、もちろんおととしは第1次、先行で、弁護士さんばっかりでしたけど、ADRが出た司法書士さんですとか、今年からはADRに取り組み始めた社労士さんと行政書士さん…』
(7000名という数字は、おそらくでたらめでしょう。人数限定・期間限定といった言葉で、煽っているだけです。7000名も集まるとも思えません。仮に、7000名集めると、40万円×7000=28億円の売り上げとなります。)
(ADRとは、トラブルが起きた場合に(例えば交通事故)、トラブルを当事者同士で解決することが難しい場合に、中立的な立場人が両者の間に入って、自主的にそのトラブルを解決しようとする『裁判外の紛争解決手段』です。簡単に言うと、喧嘩の間に入って『まぁまぁ、2人の言い分は分かった。では、このようにして仲直りしてみたらどうかな?』とお節介をする制度です。行政書士・司法書士だけでなくいろいろな士業が取り組んでいます。)
→「で、この講座の内容を見ると、税金とか、金融、保険とかですよね、資産運用的なものですよね」
(この攻撃では、資産運用を内容とするR資格を売り込むために、法律的紛争の解決制度であるADRを持ち出したり、パンフレットの内容もリコール問題・個人情報流出などのリスクを取り上げている、この矛盾を突いています。)
『えー、うん、まー、おっしゃるとおりです。』
(かなり、しどろもどろでした。)
→「うちのやっている内容と違うんですよ。うちは法律業務をやっているので、税金とか保険とかやってないんですよね。なんで、ちょっとズレが生じているんじゃないんですかね」
『んー、内容に関して言いますと…。』
→「ええ!」
『一般的な形で出していますのでね、正直言いまして、行政書士の試験、業務と同じじゃないんですよ。』
→「ええ、で、ウチのやっている業務とも同じじゃないんですよ。そもそも、なんで、資産運用を内容とする講座を案内するに当たって、ADRの話を持ち出してくるんですか?」
『まあ、特認的なものと、例えば、うーん、今、うーん、えーと、郵政省が民営化で、ごそっとあふれた中途退職者を、行政書士会に行政書士登録しますよね』
(途中、録音が聞き取れなかったのですが、かなり動揺した後、公務員から行政書士になるパターンの人のことを話し出しました。
 振り返ってみて、ここでトコトン、この矛盾点をいろんな角度から突きまくっていけばよかったかな?と思いました。次に機会があれば、そうしたいと思います。)
→「ああ、ああ、ありますね」
 
第2陣、出撃!
ここから、局面が変わります。今までは、資格の内容を突いていましたが、ここからは資格の外側、つまり、本当に国家資格になるかを追求することになります。
『…』
(何かしゃべっているのですが、録音からは聞き取れませんでした。その後の、自分の反応を振り返ってみると、いかにも国が関与しているかのようなことを話しているようです。)
→「ということは、これは国が関与しているということですか」
(あらかじめ用意していた攻撃材料のうち、大きなウェイトをしめるのは、①R講座の内容についてと、②国家資格化についてです。ここで、国家資格化について攻撃することにしました。)
『現状においては、まだ民間資格です』
→「現状において!?」
『ファイナンシャルプランナーは国家資格になりましたよね』
→「じゃあ、これはいずれ国家資格になるということ?」
『国家資格を目指している…』
→「目指している?」
(このあたりは、言葉の合戦という感じでした。お互いのしゃべる言葉が重なってしまい、録音からは聞き取れないものもありました。)
『すいませんが、いつになるんだと言われると、いつとは絶対に言わない。例えば時期がずれただけで詐欺だと言われたら、かないませんから…』
→「ああ、はい。で、まえ、Hさんという人が、電話して来ましたよね」
『ああ、Hくんね』
→「そのときに、国家資格になると断言してたんですよね!」
『Hがですか、本当ですか』
→「ええ」
『すいません。それについては撤回させてください』
→「そうですか」
『うーん…。あとでHを叱っておきます。すいません』
→「それは、おかしいな…と思いまして」
『それはね、あの、あはっ、彼の勇み足です。すいません』
(すんなり、謝ってしまいました。おそらくこの男は、どこまで言って良いのか・悪いのかを理解して話をしていると推測されます。自分が業者の立場であれば、やはり断定はしません。しかも売込みする相手が法律家であれば、細心の注意を払います。この講座がメリットになることを一所懸命説いていきます。このR講座を売り込む際の問題点は、資産運用のための資格であるのに、危機管理を持ち出している点です。従って、自分が業者の立場であれば、危機管理を内容とした資格を作るか、資産運用資格としてセールスするかのどちらかです。
 逆に、こちらの立場に立つと、いったん契約すれば、士業である以上「消費者」ではないので、消費者契約法・特定商取引法による契約取消はありえない、しかも、法律家としてのプライドから問題に発展させにくいといったことが考えられます。
 なお、対象が一般消費者・事業者を問わず一般的にこの業界は、100%のウソは絶対につかないと心に言い聞かせています。逆に言うと1%でも真実が混じっていれば、それを強引に拡大解釈させる。この業界はそういうものです。)
『今、国がですね、絶対に必要なもの以外に、国家の認可をしてはならない…』
(すいませんと謝って、間髪いれずに喋りだしました。早くこの場を切り抜けたいのでしょう。自分が相手の立場でも、そう思うでしょう。しかし、信頼を得るという目的からすれば、徹底的に謝り、問題解決に向けた方策を示し、問題を指摘してくれたことに感謝を意を示す方が良いかもしれません。)
→「そうですかねぇ」
(会話の後半は、テープの雑音で聞き取れませんでした。「そうですかねぇ」の反応はこの後半に相手が言ったことに対する反応です。国が国家資格創設に消極的なことは、私が事前に準備していた対応マニュアルにも用意していましたが、先に言われてしまいました。)
『6年前に、ファイナンシャルプランナーの特認をね国にやめてくれと言われた後、4年ちょっと前に国家資格になりました。』
→「ええ」
(たんなる相づちです。なお、相手業者がファイナンシャルプランナーの資格創設に関与しているかのように話していますが、相手業者のホームページを見ても、直接関与しているようには見えません。関連会社・提携会社などが関与しているのではないか、例えば、先ほどの会話に出てきたビジネス雑誌社あたりではないでしょうか?これが、「100%のウソはつかないが、99%のウソはつく」の具体例です。)
『その後に国家資格になりましたのは、ケアマネージャー。あのときはリハビリテーション関連の方が対象となっておりました。これも私どもで、案内させていただきました。今回は、危機管理ということでR資格をご案内させていただいております。』
→「そうですか」
『今回は、弁護士さんですとか、司法書士さんとかを招いているわけなんですよ』
→「ええ」
『かといって、無試験になるわけではないんですよ。すいませんが…私どもの権限でもないし。』
(かなり早口になってきています。余裕がなくなって来ているのでしょうか。)
『ただ、流れとして、ファイナンシャルプランナーがメジャー化したのは、バブルの頃、流れがあったから、ケアマネージャーがメジャー化したのは高齢化社会だから』
→「うん」
『これが今、必要とされているのは、リスクと言うものに対して2008年に新会社法、内部統制、それともうひとつ、ISOの26000という分野からなんですけど、これは、会社のCSRだとかリスク管理の取り決めなんですよ。日本経団連の…(雑音で聞き取れませんでした)…こちらのほうに対応しているような形と比較されますから、流れは2008年に大きなビジネスチャンスになります。』
→「ええ」
『と言うことで、今回は、先行して、資格を取りませんか、と。まあ流行というのはなんとかなるもんでもありませんし…。すいませんが、そういう権利(?)があるから資格がとれるというものでもありませんからね。』
(かなり、曖昧で、聞きにくく、やる気がなくなっている話し方でした)
→「パンフレットの中に、新聞記事が入っているんですけどね、わかりますか?」
『どの記事でしょうか』
(若干、動揺が見られる声でした)
 
最終段階へ
 そろそろ、終わりにしたいと思います。相手業者もなりふり構わず、言いたいことを言っていましたが、『いらない』の一言で斬るだけです。その過程で、資格商法の本質がポロポロとこぼれてきます。
→「日経新聞で、危機管理とか」
『ああ、危機管理の記事ね。リコール隠しとかの…』
→「この記事の内容と、講座の内容がずれている気がするんですよね。講座の内容はあくまで金融関連ですよね。さっきも言ったけど…」
『まあ、これはもともとファイナンシャルプランナーから…』
→「そうですよね。だったらファイナンシャルプランナーで良いんじゃないか、って気がするんですよね」
(振り返ると、ここで、「あなたの主張するリスク管理と、この資格の目的とする内容が違っている」ということを突けばよかったと思います。)
『これは、コンサルティングが可能になるんですよ。』
→「コンサルタントなら、別に資格とらなくても良いんじゃないですか」
(ここで反省している点は、相手の話に乗っかってしまったということです。これは明らかに間違いでした。相手のペースに入っていく原因になります。電話を切った後、いまいち、すっきりとしない結果となってしまいました。)
『コンサルタントフィー(手数料)が取れるというのが、理由です。資格を取った後は、協会の方へ参加されるのがほとんどですが、ある協会員の方には、○○ホテルに対して、特殊コンサルタントという仕事をお願いしております。あと、各大学院でのセミナー座談会や、この間、東京の○○ホテルでの○○展という東京都が開催した催しがあったんですけど、そちらのほうでも、講演会に出させてもらって、そのときだけでも4000名以上の方が来場いただいたんですよ。そこから、たとえばこういうもの(リスク管理)に対して、カンファレンスを開催してくれといった話や、○○に来てくれとか、□□に来てくれとか、そういう話もたくさん出ました。こういう催しに来てもらっただけでも、無駄ではないかと』
(ここでも、外来語を使っています。政治家や企業家の答弁でも見られますが、外来語を使うと、内容が分かりにくくなります。しゃべっている本人は優越感に浸れますが、相手の立場からすると不親切です。セールスとしては間違っています。契約を取るという目的からすると、メリットはない。自分が業者の立場なら、分かりやすい日本語を使います。しかし、この業界の人は自己中心的な人が多いのでこの様な、気遣いは出来ません。悪徳商法を見分ける基準の一つと言えるでしょう。
 また、この話を聞いて、この資格を取れば、セミナーでの公演を頼まれるようになると思うのも間違いです。彼のいうこの日本危機管理協会(仮名)ですが、ホームページを見ると、有名大学の教授や、企業の社長が名を連ねています。これらの人たちが公演を頼まれていると考えて間違いないでしょう。ここでも、100%のウソではないが、99%のウソ(1%のホント)の理屈が当てはまります。
 しかも、彼は、この資格を取るとセミナーの公演を頼まれる様になるとは言っていません。勝手に勘違いしてくれるのを狙っています。
 なお、特殊コンサルタントの仕事については、あるのかないのかはっきりしません。)
→「ふぅーん」
『そういう意味で、一般試験は免除、ただ、今は国がうるさくなってまして、完全に無試験でというのは官庁の方がなんとか維持している行政書士ぐらいなんですよ。』
(公務員を長く務めると、行政書士の資格が付与される制度のことを言っています。)
(『そういう意味で…』と言っていますが、話がつながっていません。いきなり話が飛ぶのは、結論を急ぎたいからで、電話勧誘にはよくある傾向です。)
『一応、試験はやらせてもらいます。ただし、それは7月に一般告知をしてする公開試験ではなくて、告知外の試験という形で行わせていただきますので、自宅での検定、こちらから試験問題を送って、解答を入れてもらって、採点で、50点、まあ60点、場合によっては50点以上で合格という形をとります。これは、ほとんど試験ではなくて、簡単なレポート提出みたいなものなんですよ』
→「うん」
『そういう形で、すぐ取れるかっこうを取って、協会のほうに通るようにして、まあ、…』
→「ただ、これ39万ですよね。そこまで出してやる気はないので…」
『でも、書式などはどこでも教えてないですよ…』
(パンフレットの中身を見ると、コンサルタントをするに際してのチェック表などの書式例があります。そのことを指しています。もちろん資産運用に関する内容です。)
(ここら辺も、雑音や、会話がかぶってしまい詳しく聞き取れませんでした)
→「そういうものは、こちらで自分で考えてやりますので…」
『会社も経営している行政書士の方で、去年ご参加いただいたんですが、こちらから提案を、お願いして、先ほど言ってた、会社分割のための有限会社設立などは、1・2・3月などは忙しいと言いながらもやってもらいましたよ。3年分ぐらいの仕事をしたと言ってましたよ。この方は、会費などは事務所経費で、月○万円(2万とも聞こえるし10万とも聞こえる)ぐらいの分割で落としてたんですけど、払い終わって、うちのスタッフにも取らせてくれということで、会社経費で出してましたけど。それくらいの収入にはなると。だから、ものと費用は、本体は大学院で勉強して、ようやく、卒業して、問題は一般受験、資格がおりる…。これは高いとおっしゃられる方はいませんよ、基本的には。』
(後半の、大学院で…のところは、この講座を取ることを大学院で勉強することに例えています。そして、卒業試験を一般試験に例えています。)

(ここで、申込書では39万円と表示しているのに、実はその後、会費などで大学院へ通うぐらいの費用がかかることを暗に喋っちゃっています。なお、平成18年5月の会社法施行後は有限会社が設立できなくなるため、会社法施行前に飛び込み需要で、有限会社を設立する案件が増えました。これは、全国的現象なので、R資格をとって、R協会に入会したことが原因とは考えにくいと思われます。)

(相手が、こちらの情報をどれだけ入手しているかが、気になる所ですが、おそらく当事務所の業務内容までは、把握してないと思われます。テレホンアポインターの仕事は、とにかく電話をかけまくります。1日400~500件ほどではないでしょうか(うまく、話し込むことができたとして150~200件ぐらい)。あらかじめ1人1人の情報をインターネット等で調べることはないと思います。相手の手元にあるのは、電話機・送付したパンフレット・名簿・メモ用紙・筆記用具のようなものでしょう。名簿に載っている情報ですが、細かい情報ほど仕入れ価格が高くなります。業務内容まで載っている可能性は低いと考えます。)
→「うちはそこまでやる、時間やお金もないし、そもそもR講座に興味がない」
『別に強制しているわけでは、ないんですよ』
→「まあ、こちらの自由ですよね。やるかやらないかは、」
(相手から送られてきた申込書の一文を引用しました。プロローグをご覧下さい。)
『はい』
→「なので、やらないという意思表示を示しているわけなんです」
(大体、こちらの目的は果たしたので、キッチリ断り、電話を切ろうと思います。)
『はい、分かりました』
以上、約16分でした。
※どう、思われましたか?文章化させることによって、おかしな点が明らかになってきます。しかし、実際には、会話をしながら進んでいきます。しかも、不意打ちの状態で、攻めて来られます。『100%のウソではないが99%のウソ』を見つけるのは、この様な状態では難しいでしょう。はじめから、断固として断るのが最善策です。
 
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