資格商法レポート
 『怪しい電話』かかって来ませんか?ウチにも来ました。ほんのちょっとだけ相手をしてあげた結果を報告します。(会社名・人名の特定は避けていますので、一部フィクション化させることにしていますが、臨場感はそのままにしてあります)
☆資格商法というのは、例えば、民間資格が今度国家資格になるから今のうちに資格を取っておくと良いですよ、などといって、教材を買わせるものです。英会話教材を買わせる商法と同類です。強引に契約を押し進め、高いお金を払わせようとします。しかも内容と価格がつりあっていない、サービスに対するフォローが未熟などの欠陥商品です。
プロローグ
 11月の最後の週に、PRA(仮名)のHという男から電話があり、 『R(ここでは、詳細は伏せます)に関する講座資料を送るので、住所を確認します。静岡県磐田市の…』
 本来ならば、電話勧誘など『いらない!!』の一言で、電話を切ってしまえばいいのですが、私の場合は、ホームページでプライバシーポリシーの書き方を公開しているし、興味がないわけではない。とりあえず内容だけ見てみようということで、資料だけもらうことにしました。
 相手は、私が行政書士であることを知って電話してきています。日本行政書士会連合会のホームページで会員検索をすれば、住所なども出てきます。おそらく、これを利用しているのではないかと思います(相手に確認していないので確信は持てませんが)。以前、この方法で営業をかけてきた業者がいました。
 もしかしたら、これらの公表されている情報をまとめあげて、資料化し販売している業者があるのかもしれません。テレホンアポインターにとっては、効率よく電話をかけまくる必要があるので、利用者(電話勧誘業者)にとっては便利です。私は、この線の可能性が高いと考えています。

 ここで、なぜ相手業者が資料送付のための住所確認だけにとどめておき、契約の話をしないのかですが、最初の電話で核心に迫った話をすると、警戒心のため断られる可能性が高いからです。城を落とすために堀を埋めていく戦法です。この段階で『いらん!』と断ってしまえば、被害は発生しません。また、相手は『この人は脈なし』として、カモ名簿に載せることもないでしょう。ただし、あまり刺激すると、いたずら電話をされる可能性もあるので注意しましょう(結構しつこい人もいます)。
 たとえば、何も言わずに電話を切ると、非常に腹が立ちます。『いらない』と言われるよりもずっと腹が立ちます。この仕事はストレスが溜まるので、臨界点に近い心理状態のときに、この様なことをされると、爆発して、もう1度電話して「失礼だろ!!」と怒り、延々とわめき散らす、とか、無言電話を繰り返す、とか、「火事に気をつけろよ!」などの脅迫をする人もいます。

 実は、私は昔テレホンアポインターをしたことがあります。自分の性格上、いたずら電話はもちろん、強引な勧誘はしませんでしたが、やはり、電話をガチャ切りされるのが一番精神的にダメージが大きいです。


 私は、裏側を覗いています。その経験も踏まえて、R講座というものの、資格商法っぷりを公表します。
 これが、申込書の一部(見本)です。悪徳商法独特の言い回しがあります。
 ①には『間違いなく申し込みます。』、②には『※受講する、しないはご自由です。自己責任(リスク・アセスメント)において、受講お申込のご判断をお願いします。』と書いてあります。何か違和感を覚えませんか?この『くどさ』は、後日クレームが発生したときの布石のつもりでしょう。

 ここには載せていませんがパンフレットも怪しさが漂っていました。
対応マニュアルの作成
 パンフレットを簡単に見て、この申込書を見た所、代金約40万円と書いてあったので、話にならないと思い放って置いたところ業者から電話がありました。断ろうとしたら、いわゆるマシンガントークが始まる感じだったので、接客中を理由にその場は、電話を切りました。
 相手は、こちらの準備がない状態で電話をしてきています。つまり奇襲をかけています。従って、この時点では、迎え撃ちはしません。
 この際の基本的対応は『いりません』『いりません』『いりません』の一点張りで十分です。『誰がじゃ、何をじゃ、どうしてじゃー』の繰り返しも試してみるとおもしろいかも知れません。相手を、あきらめさせる、あきれさせる、のが一番です(下手に相手を刺激をすることもありません)。
 まず、インターネットで、情報を収集しました。「○○(業者名)  悪徳商法」で検索すると、結構情報があふれています。おおよその手口をここで、知っておいて、パンフレットの内容におかしな点がないかをチェックします。内容が虚偽であるかではなく、矛盾をつきます。その後、法務局へ行って、商業登記簿謄本をとってきます。そして、これらの、情報をもとにして、電話対応のシミュレーションを考えます。
 そもそも、電話勧誘に対して、この様なことをする必要は全くありません。みなさんは、相手に断りの意思表示だけをすればいいのです。疲れます。疲れるのは私だけで結構です。みなさんは、傍観者の立場でこのレポートをご覧下さい。
相手業者から電話が来た!
 では、ここから、実際の電話対応の内容を公開します。業者名や業者を特定する名称等は伏せてあります。また、録音状況がよくなかったため一部抜いたり、前後の会話から適当な言葉を挿入したりしています。そのため、内容は臨場感を出しつつも、フィクション化させている部分もあります。業者の発言は紫色、私の発言は青色で示してあります。
業者;『わたくし、日本危機管理協会(仮名)○○認定校のNです。』
(前回、かけてきた人と違う。しかも、話し方から、Hより格上の人物のようだ。そういうシステムなのだろうか?)
業者;『先般、こちらからですね、R認定資格の資料をお送りいたしてたんですがまぁ、あの前回見ていなかったと言うことなので、時間を置いて掛けなおさせていただいたんですが、内容のほうは確認いただけましたか。』
→「ええ、一応みました」
業者;『あっ、そうですか。内容分かりました?昔のファイナンシャルプランナーとか税理士とか行政書士とか、あっ行政書士は今でもありますね、特認は。そのシステムと同じでして、一般公開試験を免除して、資格をお取りいただくご案内を差し上げました。』
(「特認」の意味は、試験を受けずに資格が与えられることを意味しているようです。行政書士の資格は行政書士試験に合格する以外に、公務員の事務を20年以上続けると与えられるというケースがあります。他にも、法学系の大学教授が弁護士になるケースや、裁判所の事務官から簡裁裁判官になるケースなどがあります。すべて法律に規定があります。しかし、このR資格は国家資格ではないので、法律上の規定があるわけもなく、同じにされては困ります。)
→「とりあえず、今回お断りすると言うことで…」
(とりあえず、断る意思を示しておきます。もちろん、相手は、断られるのを承知でセールストークを準備しており、こちらも、それを承知して準備しました。)
業者;『なるほど!ご案内するにあたって、ご不満な点でもありました?』
(録音が聞き取れないため、一部しか聞こえませんでした。大体こんな感じのことを、しらじらしく、聞いてきました)

 私は、相手が、Hという男(前回電話をかけてきた人。攻撃的な話し方で、少ししか話しをしていませんが、瞬間で不快になりました。)が電話をしてくると思っていましたが、実際はHではなくNという男でした。それは、予想外でした。予め用意していた①商品内容に対する批判、②会社に対する疑問、③人に対する応対、を用意していましたが、③が使いにくくなってしまいました。もっとも、主力は①なので、問題ありませんでしたが。NはHと違って、静かに理路整然と話しをするタイプです。相手を不快にさせる無駄なことはしない感じですが、このタイプに②の攻撃をすると、理路整然と反撃を食らいます。証拠がないからです。せいぜい、登記簿上明確な社名が変わった理由を尋ねることで、揺さぶりをかけるぐらいです。とはいえ、相手に勝ち目はありません。
そして、決戦の火蓋が落とされることとなりました。
→「そうですね、ここでいうリスクアセスメント、これって何を意味してますか?」
(パンフレットの内容は資産管理、同封されていた新聞記事の内容は危機管理(証券取引所のシステム障害や鉄道事故の問題など)を、取り上げていたので、相手の口からはっきりした回答を出させるように仕向けました)
『つまり、一言で言うと、ワンショットカブン(?)』
(聞き取れませんでした。外来語は要注意です。意味をぼかされてしまいます)
→「というと?」
『例えば、弁護士や司法書士さんと提携を取られて、いま、結局、実は、あのー、法律とかの相談とか、企業のコンサルタントをメインでやってるのは司法書士さんか行政書士さんなんですよ。』
→「ええ、ええ」
(単なるあいづち)


『なぜかというと、弁護士さんは相談するのに、お金だけ取ると、言うことで、結局、まあ、無料で相談というのは、そういう立場の人(司法書士・行政書士のこと)だけ。そういう相談を受けた場合、きちんとコンサルティングをしてあげたい。(裁判などの)必要性があるならば弁護士にやってもらって、…』
→「そうすると、これは法律的な問題になるということですか。」
『法律的な問題?』
→「えー、それともファイナンス的な問題ですか?」
『両方とも対応してますけども…』
→「両方とも?」
『んー、一番問題になるのは、2008年に法改正がありますよね。』
→「2008年?」
『もっと分かりやすくいうと、今年の5月に新会社法が成立して、特例有限会社は設立できなくなりましたよね』
→「ん?」
(平成18年5月の会社法施行により、有限会社は設立できなくなりました。今まであった有限会社は、呼び方は有限会社のままであっても法律上は株式会社と扱われます。これを特例有限会社といいます。
 彼は、有限会社が設立できない、と言うのを、特例有限会社が設立できない、と言い間違えています。その後も、『特例』と『特定』を言い間違えていました。
 細かい所ではありますが、念のため補足しておきます。)
『あー、有限会社は、ですね。その前に設立していた有限会社が…、まぁ、例えば、あのときすごいビジネスチャンスだったんですよね』
(こうやって、改めて、文章にしてみると、たいしたことは話していません。必死になって、ビジネスチャンスになることを伝えようとしています。確かに、5月の会社法施行はビジネスチャンスだと騒がれていました。しかし、こちらは、この講座が資産管理を内容とするものか、危機管理を内容とするものかだけを論点にしています。論点のすり替えは見逃しません。)
→「ええ、ええ」
『まー、私どもの業界は○社という、ビジネスマン向けの雑誌がありますよね、がやっておりますので一昨年弁護士さんや司法書士さんを対象に、ケイエン型(?)、会社の社長さんに、こういう○○を持っていったらどうですか?というのをお教えしました。』
→「ええ」
(単なるあいづち。録音の声も聞き取りにくかったのですが、それ以上に意味が分かりません)
『つまり、息子さんや娘さん、お孫さんに着目した、特例有限会社を会社分割してほしいという、まあ当然のことながら、特例有限会社は生涯役員は変わりませんので、けれども、本社の管理下にあるうちにお金の流れを作っておきたいと…。』
→「ええ」
(これも単なるあいづち。もはや、何を言いたいのかわかりません)
『で、その会社が…』
(録音のなかに飛行機の音がはいってしまい、聞き取れませんでしたが、支離滅裂になっていました。必死です。
 このあたりで、反撃をしてみようかと思います。)
→「はい、はい、それとですね、このR講座とどう関係があるんですか?」
『いや、今回この資格を特認という形にさせてもらってるんですよ。』
→「特認?」
(今までの会話の中で、『特認』という単語が出て来ていましたが、ここで、その意味を聞いてみたいと思います。この業界の人は自己中心的に話を進めるので、分からない(わかりにくい)単語を当然のように使います。)
『お客さん、一般士業の方に免除して、取ってもらうご案内です』
→「え!、それは、なんで、免除になるんですか?」
(あらかじめインターネットで相手業者の手口を調べていますが、わざと分からないふりをして、聞いています。人によっては、『そんなこともわからないのか?』という反応をする人もいますが、挑発に乗らず、攻撃のタイミングまで、我慢します。)
『資格者の方ですよね?』
→「わたくしがですか?」
『うん』
→「そうですよ」
『うん、だからその方、7000名に、もちろんおととしは第1次、先行で、弁護士さんばっかりでしたけど、ADRが出た司法書士さんですとか、今年からはADRに取り組み始めた社労士さんと行政書士さん…』
(7000名という数字は、おそらくでたらめでしょう。人数限定・期間限定といった言葉で、煽っているだけです。7000名も集まるとも思えません。仮に、7000名集めると、40万円×7000=28億円の売り上げとなります。)